保険治療の開拓者

保険取り扱い改善運動とともに発足

当会の前身・東京都保険鍼灸マッサージ師会は、1986年4月20日に結成されました。

会発足の目的は、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の保険(療養費)取り扱いの改善です。

発足当時の保険治療は、不合理な厚生省通知とともに、保険者の恣意的な通知解釈により著しく制限されていました。

東京都保険鍼灸マッサージ師会は、療養費の不支給に泣き寝入りせず、不支給の取り消しを求める審査請求に訴えて、患者の立場を無視する療養費支給の不合理なやり方の改善を追求していきました。

岸イヨさん鍼灸裁判

宇都宮市に住む岸イヨさんは1990年に五十肩で鍼灸治療を受けていましたが、治療の途中に外科医の診断や治療を受けたり、柔道整復師の治療も受けました。しかし、それら治療のなかで「鍼灸治療だけ」が保険不支給となりました。

健康保険の治療において鍼灸治療だけを特別に制限し、不支給とするのは納得できないとして、岸さんは1991年に宇都宮地裁へ提訴。弁護団は、渋川孝夫氏、田島二三夫氏、宮原哲朗氏の3人の弁護士で、弁護団より9回にわたり膨大な陳述書が提出されました。また、20回に及ぶ口頭弁論の中で、原告の証人として7名の方が、鍼灸治療の適応疾患、東洋医療における鍼灸の役割、鍼灸の教育、健康保険取り扱いにおける鍼灸の差別など、鍼灸をめぐるすべての問題を取り上げ、東洋医療排除の医療行政の誤りを指摘する証言を行いました。

しかし、これらの証人に対し被告の国からの反対尋問は一切無く、議論するほど医療行政の問題が明らかになるために、国は議論を避けたのです。

厚生省通知 保発150号と保発0524003号

岸イヨさん鍼灸裁判が結審する直前の1997年12月1日、厚生省から通知保発150号が出されます。

これは、「あくまでも医師の治療手段の無い場合に例外的処置として鍼灸療養費を支給する」という不合理な支給基準は変えないが、「6疾患の同意書が発行されれば、その支給基準を満たしているものとして療養費を支給してもよい」という内容です。

この通知により、鍼灸治療の保険適用が飛躍的に進みました。

さらにその後、2002年5月24日厚生労働省通知保発0524003号において、念願だった鍼灸治療の「治療期間の制限」「治療回数の制限」が廃止されました。

これらの通知は、鍼灸裁判を通じて患者と鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師が協力し、国と争い、導き出した貴重な一歩なのです。

千葉鍼灸裁判

しかしながら、療養費の不支給が減少したとは言え、療養費の委任払い(窓口で一部負担金のみを支払う方法)を認めない保険者も沢山ありました。

この委任払い拒否の問題の解決のため、2000年1月20日全国保鍼連の呼びかけで、125名の鍼灸マッサージ師が、健康保険制度における差別的取り扱いの改善を求めて千葉地裁に提訴しました。

これは、柔道整復師の治療を受けた場合は委任払いが認められるのに、鍼灸・あん摩マッサージ指圧の治療を受けた場合は償還払い(窓口で10割全額を支払い、後で保険分を患者が保険者に請求する方法)になってしまうという、差別的な取り扱いを是正する裁判です。

東京都保険鍼灸マッサージ師会は、大半の理事が原告として参加し、この訴訟運動の先頭に立ちました。

しかし、2004年1月に出された判決では、原告の請求は棄却されました。

判決文によると、「柔道整復師のように、従来から受領委任払いが認められてきたという沿革のないあん摩マッサ-ジ指圧師等について、新たに受領委任を認めることは、困難であると厚生労働省の担当者が判断したとしても理由がないとはいえない。との司法判断でした。

受領委任制度が遂に認められる

千葉鍼灸裁判判決から15年。

2019年1月1日、受領委任制度が遂に認められる時が来ました。

この間、東京都保険鍼灸マッサージ師会は、有限責任中間法人を経て、2008年12月1日一般社団法人鍼灸マッサージ師会となりました。

現在のこの保険制度は初めから付与されたものでは決してなく、岸イヨさん鍼灸裁判や千葉鍼灸裁判、その後の地道な運動において、患者、国民の皆さまとともに改善を求め続けてきたからこそ成し得た「大きな成果」だと言うことができます。

保険治療の開拓者として、当会はこれからも厚労省や保険者に対し、患者・国民の立場に立って意見を主張していきます。

さらに詳しくは、会の歴史をご覧下さい。

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