国民が選べる「あはき」療養費支給へ改善を


厚労省通知による「あはき」療養費          
         久下 勝通 


厚労省は、あん摩マッサージ指圧師、はり・きゅう師、柔道整復師の治療を健康保険法 87 条による
療養費の取り扱いだとしています。
87 条は以下のようにいっています。「保 険 者 は 、 療 養 の 給 付 を 行 う こ と が 困 難 で あ る と 認
め る と き 」ま た「 被 保 険 者 が 病 院 、診 療 所 、薬 局 そ の 他 の 者 か ら 診 療 、薬 剤 の 支 給 若 しく は 手 当 を 受 け た 場 合 、保 険 者 が や む を 得 な い も の と 認 め る と き 」療 養 費 を 支 給 す る こと が で き る と い う の で す 。


87 条による療養費支給について、厚労省がどのように考えているのか「療養費支給基準(社会保険研
究所)」において次のように説明しています。
「つまり、(ア)無医村等で保険医療機関がないか、または利用できない場合、すなわち、無医村あ
るいは医師がいても相当の距離があって応急処置として売薬を服用した場合とか、その地区に保険医
がいない場合、あるいは保険医がいても、その者が傷病のために診療に従事することができない場合
で、やむを得ず保険医以外の医師の診療を受けた場合、(イ)治療用装具(ウ)柔道整復(エ)あん摩
マッサージ指圧師、はり師,きゅう師による施術(オ)生血(カ)移送費(キ)その他がある」。
いったい何をいっているのかと思うような内容です。
無医村で医療機関が利用できないような場合、あるいは保険医がいても傷病などで診療ができない
場合であると、保険者が判断した場合に、「あはき」や柔道整復の施術について療養費を支給するとい
うのです。
健康保険法は大正 11 年(1922 年)に公布された法律ですから、無医村などの問題も存在したのでし
ょうが、しかし、法律公布から 100 年を過ぎ、医療機関が充実されてきた今日、無医村のような状況
は考えられません。
保険医療機関が無いため利用できない、あるいは、保険医が傷病などで診療は受けられない、とい
う様な事態は存在しないのです。「あはき」療養費、そして柔整療養費の支給は、87 条を名目として、
何から何まで、すべて厚生労働省通知による取り扱いです。

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