鍼灸マッサージ師会の歴史

東京都保険鍼灸マッサージ師会の運動から岸さん鍼灸裁判へ

東京都保険鍼灸マッサージ師会、全国保鍼連は、鍼灸治療、按摩マッサージ指圧師の治療の健康保険における取扱いの規制を、国民、患者の医療を受ける権利の制限として認識し、行政に差別という根本的問題のあることを明らかにしました。この視点から、保険取扱いにおいて、鍼灸マッサージ治療も他の医療と平等に扱うことを要求して行動する新しい団体でした。

東京都保険鍼灸マッサージ師会は、まず療養費の不支給に泣き寝入りせず、不支給の取り消しを求める審査請求に訴えて、患者の立場を無視する療養費支給の不合理なやり方の改善を追求しました。

審査請求は、不合理な療養費不支給の取り消しを求めて、各都道府県の社会保険審査会、また中央社会保険審査会に不支給取り消し請求するという、患者にたいして制度が認めている権利です。審査請求に対しては社会保険審査官が被保険者および保険者、両者の主張を聴いて決定を出すことになっているのですが、しかし、審査請求は厚生省の行政指導の下にあり、問題の多い厚生省通知や見解に沿う結論となることが多く、不支給改善に結びつけることはなかなか困難でした。

このため、療養費支給において、鍼灸マッサージを差別的に制限する厚生省通知の違法性を問題にするため、行政訴訟(裁判)で争う準備をはじめた。

訴訟をおこすことができるのは患者さんです。栃木県宇都宮市の岸イヨさんは平成2年に五十肩で鍼灸治療を受けていましたが、治療の途中に外科医の診断、治療や柔道整復師の治療も受け、いろいろの治療のなかで鍼灸治療だけは不支給となりました。

健康保険の治療において鍼灸治療だけを特別に制限し、不支給とするのは納得できないとして宇都宮地裁へ提訴決意しました。いろいろの準備、検討の結果、岸イヨ鍼灸裁判を平成3年8月28日に宇都宮地裁に提訴しました。

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